千葉県立四街道特別支援学校
本校は病弱教育を専門とする県立学校です
 

千葉県教育委員会研究指定校

千葉県教育委員会研究指定校

研究指定事業は、千葉県の特別支援教育に係る課題について、研究指定校を指定して調査研究を行い、特別支援教育に関する教育内容や教育方法についての知見を得るとともに、その経過を広げ、一人一人の特性に目を向けた特別教育の推進に資するものです。

 

27年度研究成果報告

1 研究課題

  特別支援学校のセンター的機能の充実

 

2 研究主題

  ICTを活用した遠隔授業による学びの場の創出

 ~特別支援学校のセンター的機能の可能性を探る取り組みとして、ICTを活用した「遠隔授業」の実践をとおして、長期入院等の理由で継続した学習活動が困難な児童生徒の学びの場の創出や、学習方法や支援の在り方などについて研究し、遠隔教育の効果を明らかにする。~

 

3 学校の概要

本校は、隣接する独立行政法人国立病院機構下志津病院と連携しながら病弱教育を行っている特別支援学校であり、児童生徒数87、教職員数75(平成28年2月22日現在)である。小学部、中学部、高等部からなり、近隣の病院や自宅への訪問教育も行っている。また、近隣市の病院に小・中学部の院内学級を持っている。近年、病気の多様化や通学生の増加とともに、喘息・肥満等一般慢性疾患の児童生徒が減少し、精神性の疾患や発達障害を伴う児童生徒の増加が課題となっている。病弱教育のセンターとして教育相談や隣接病院と連携した研修会の開催等に力を入れているが、それらに加え、数年前から「通級による指導」、「巡回による指導」を行っている。

 

4 研究の経過

  研究課題の解決を目指し、本校が現在抱えている2つの課題「①異校種からの転入生への教科指導」「②障害による欠席の多い生徒の指導」を研究テーマとしてICTを活用した遠隔授業の2つの実践研究を行った。

【研究①】

・前籍校とともに転入生の教育課程を検討し、専門教科の指導支援の方針決定。

・方針に基づき「遠隔授業」を実践し、実践記録により毎時のデータを蓄積する。

・実践記録の分析や各関係者へのアンケートにより実践を整理し考察を行う。

【研究②】

・病状や障害により欠席がちの生徒について、対象とする課題分析を行う。

・対象に適切なオンデマンドの形態を検討し、試行する。

・オンデマンド授業への参加記録、アンケート、聴き取り調査などにより考察。

 以上2つの実践により病弱教育の遠隔授業の在り方についてまとめを行う。

 

5 研究成果の要旨

(1)研究のねらい

  本研究のねらいは、以下の2点である。

 ①入院により専門学科より本校に転入してきた生徒に対し、ニーズの高い専門科目の指導を行うため前籍校の教員からICTを活用した遠隔の支援を受けることで、個のニーズに応える授業が可能になるのかを検証する。

 ②病状や精神性疾患等により欠席が多い生徒に対し、体調の良い時に参加できるオンデマンド授業の様々な形態を試行し、その可能性を探る。  

 

(2)研究成果と問題点

  <成果1>

 ①訪問教育の枠を超え、課外時間等の活用により前籍校による支援と本校の訪問担当教員の共同体制で授業を行うことで、専門科目の指導の質を一定に保ち、個に応じた教育を可能にすることが確認できた。

 ②ICT活用による遠隔授業の実用性について確かな手応えが得られた。

また、受信生徒側の支援教員の役割も明確にすることができた。

 問題点

①治療や体調不良による時間的制限への対応が必要
②前籍校の協力と理解が不可欠であり今後の啓発活動が必要

 

 <成果2>

①ブログ内のコメント欄を利用した評価や学習レポート提出への応用など病弱教育ならではのオンデマンド授業の在り方が見えてきた。

②遠隔授業による心の交流を通して、不登校が改善されその後毎日登校できるようになった生徒もおり、オンデマンド授業の成果を感じている。

 問題点

 ①学習のコンテンツ制作の時間的な問題

 ②個人情報等セキュリティへの配慮

 

(3)今後の課題

  病弱教育の遠隔授業の制度化にあたっては、高等学校の遠隔授業の延長線上
にあるものという考え方ではなく、病種や障害による教育上の困難を十分に配慮した病弱教育なりの遠隔授業を検討することが必要であり、今後の課題である。