文部科学省研究開発学校指定

本校では、平成27年度から30年度までの4年間、研究開発学校として指定を受け、以下の研究を行いました。
1 研究テーマ
  特別支援教育(高等部におけるICTを活用した遠隔教育)
2 研究開発課題
特別支援学校(病弱)高等部における遠隔地の病院に入院中の生徒に対するICTを活用した遠隔教育の在り方に
ついての研究開発
3 研究の概要
本校は、病弱特別支援学校として、自宅療養や遠隔地の病院へ入院した高等学校の生徒の転入を受け入れている。
これらの生徒は、病状や学力、学科等様々であるが、出席の確保、履修継続、単位修得、学力向上、復学等という
共通のニーズがある。
そこで本校では、サポートを大切にしながら、履修状況、本校へのニーズ等個々の生徒の実態に応じた形で遠隔
教育を新たに導入し、訪問教育と併せて実施する病弱特別支援学校高等部における教育課程の研究開発を実施する。
4 研究の仮説等
(1) 研究仮説
遠隔地の病院に入院するなど通学が困難な病弱特別支援学校高等部生徒の多様なニーズに応じた教育課程を編成し、
対面授業に加え、前籍校との連携を含めた同時双方向型授業やオンデマンド型の授業など、ICTを活用した遠隔
教育による多様な授業を行うことにより、学習の保障と学力向上を図り、生きる意欲を高めていくことができる。
 
(2) 教育課程の特例
ア 特別支援学校(病弱)の高等部において、全課程の修了要件として定められた単位数の2分の1未満を上限と
  する遠隔教育の単位数を緩和する。
イ 受信側生徒が1名で、配信側教師の即時指導や質疑応答等ができる同時双方向型授業においては、受信側に
  教員を置かずに対面授業と同等に扱う。
  更に、受信側が複数になり、場所が異なっても、受信側デバイス1台に生徒が1名なら、同様に扱う。


 

千葉県教育委員会研究指定校

本校では、平成27年度に千葉県教育委員会研究指定校として、特別支援教育に係る課題について調査研究を行い
特別支援教育に関する教育内容や教育方法についての知見を得るとともに、その経過を広げ、一人一人の特性に目
を向けた特別教育の推進に務めました。
1 研究課題
  特別支援学校のセンター的機能の充実
2 研究主題
  ICTを活用した遠隔授業による学びの場の創出
 ~特別支援学校のセンター的機能の可能性を探る取り組みとして、ICTを活用した「遠隔授業」の実践をとお
  して、長期入院等の理由で継続した学習活動が困難な児童生徒の学びの場の創出や、学習方法や支援の在り方
  などについて研究し、遠隔教育の効果を明らかにする。~
3 学校の概要
本校は、隣接する独立行政法人国立病院機構下志津病院と連携しながら病弱教育を行っている特別支援学校である。
小学部、中学部、高等部からなり、近隣の病院や自宅への訪問教育も行っている。また、近隣市の病院に小・中学
部の院内学級を持っている。近年、病気の多様化や通学生の増加とともに、喘息・肥満等一般慢性疾患の児童生徒
が減少し、精神性の疾患や発達障害を伴う児童生徒の増加が課題となっている。本校は病弱教育のセンターとして
教育相談や隣接病院と連携した研修会の開催等に力を入れているが、さらに、数年前から「通級による指導」「巡
回による指導」を行っている。
4 研究の経過
研究課題の解決を目指し、本校が現在抱えている2つの課題「①異校種からの転入生への教科指導」「②障害によ
る欠席の多い生徒の指導」を研究テーマとしてICTを活用した遠隔授業の2つの実践研究を行った。
【研究①】
・前籍校とともに転入生の教育課程を検討し、専門教科の指導支援の方針決定。
・方針に基づき「遠隔授業」を実践し、実践記録により毎時のデータを蓄積する。
・実践記録の分析や各関係者へのアンケートにより実践を整理し考察を行う。
【研究②】
・病状や障害により欠席がちの生徒について、対象とする課題分析を行う。
・対象に適切なオンデマンドの形態を検討し、試行する。
・オンデマンド授業への参加記録、アンケート、聴き取り調査などにより考察。
 以上2つの実践により病弱教育の遠隔授業の在り方についてまとめを行う。
5 研究成果の要旨
(1) 研究のねらい
  本研究のねらいは、以下の2点である。
 ①入院により専門学科より本校に転入してきた生徒に対し、専門科目の指導を行うため前籍校の教員からICT
  を活用した遠隔の支援を受けることで、個のニーズに応える授業が可能になるのかを検証する。
 ②病状や精神性疾患等により欠席が多い生徒に対し、体調の良い時に参加できるオンデマンド授業の様々な形態
  を試行し、その可能性を探る。  
 
(2) 研究成果と問題点
  <成果1>
 ①訪問教育の枠を超え、課外時間等の活用により、前籍校による支援と本校の訪問担当教員の共同体制で授業を
  行うことで、専門科目の指導の質を一定に保ち、個に応じた教育を可能にすることが確認できた。
 ②ICT活用による遠隔授業の実用性について確かな手応えが得られた。また、受信生徒側の支援教員の役割も
  明確にすることができた。
 問題点
 ①治療や体調不良による時間的制限への対応が必要
 ②前籍校の協力と理解が不可欠であり今後の啓発活動が必要
 
 <成果2>
 ①ブログ内のコメント欄を利用した評価や学習レポート提出への応用など、病弱教育ならではのオンデマンド授
  業の在り方が見えてきた。
 ②遠隔授業による心の交流を通して、不登校が改善されその後毎日登校できるようになった生徒もおり、オンデ
  マンド授業の成果を感じている。
 問題点
 ①学習のコンテンツ制作の時間的な問題
 ②個人情報等セキュリティへの配慮
 
(3) 今後の課題
 病弱教育の遠隔授業の制度化にあたっては、高等学校の遠隔授業の延長線上にあるものという考え方ではなく、
 病種や障害による教育上の困難を十分に配慮した病弱教育なりの遠隔授業を検討することが必要であり、今後の
 課題である。