本日、本校第49回の卒業証書授与式が無事に終了いたしました。新型コロナウイルス感染拡大防止の徹底を図るため、卒業生と職員のみの式とし、保護者と来賓の方々の臨席をご遠慮いただきました。特にお子様の高校卒業というハレの式典を楽しみにされていた保護者の皆様には大変恐縮ですが、どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。
以下に式辞を掲載します。
式 辞
暦の上では啓蟄を過ぎ、一雨ごとに春の訪れが感じられる季節となりました。
今、世界では、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、あらゆる人がその最前線で当事者となっています。このような緊急で特別な状況下ではありますが、本日、千葉県立四街道高等学校 第49回 卒業証書授与式を挙行できることを、心から喜びたいと思います。
ただいま卒業証書を授与された、325名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。本日のこの栄誉は、卒業生の皆さんのたゆまぬ努力と研鑽の賜物と、心から讃えたいと思います。また、本日この瞬間を迎えることができたのは、御家族の方々の深い愛情と、友達や先生方、そして、地域の皆様方からの温かい励ましがあったからこそであり、どうかそのことに思いを寄せ、感謝の気持ちを忘れることなく、さらなる努力と研鑽を積まれるよう期待してやみません。
さて、新時代への門出に立ち、新たな道を歩み始めようとする皆さんに、話しておきたいことがあります。ものごとを批判的に考え、判断する力をつけてほしいということです。
皆さんの多くが生まれた2001年、21世紀が始まったこの年から、令和へと改元された2019年までの18年間は、皆さんのこれまでの人生と重なります。この間、私たちの生活環境は大きく変化し、中でも、情報通信機器は信じがたいスピードで進歩し、その進化を続けています。PCやスマートフォンをはじめとした、インターネットにつながる、すべてのモノのおかげで、私たちは、かつてないほど便利な生活を送ることができています。生まれた時からインターネット環境にある、デジタル・ネイティブの皆さんには、その恩恵が当たり前のように感じられるかもしれません。しかし、オンラインゲームなどに熱中するあまり、ゲーム障害に苦しんだり、無責任な投稿により人に迷惑をかけたりするなどの大きな弊害も現実に起きています。
ゲームのために健康を犠牲にしていいのか。ネット上の情報をどこまで信じていいのか。大切なことは、情報の真偽を見極める根拠や、価値を判断する根拠となる、自らの知性や感性を磨き、常に対象を批判的にとらえることです。高校卒業後も、自らの知性や感性、思考力と判断力を更に伸ばし、安易に周囲に同調することなく、批判的精神を持ち、未知の世界をたくましく生き抜いてほしい。
「八角磨盤空裏走(はっかくのまばん くうりをはしる)」という禅語があります。八角磨盤とは岩でできた石臼のようなもので、その重いものが空中を飛ぶというのですから、通常では考えられないことです。世界はすべてが合理的とは限らず、思いもよらないことも起きます。卒業の日を、そんな未知の世界への入口としましょう。
卒業生325名の、洋々たる前途が健やかで、幸多きことを心から祈念して、式辞といたします。
令和2年3月7日
千葉県立四街道高等学校 校長 渡邉 範夫