千葉県立四街道高等学校
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2019/03/14

校長室だより【3月】「大人の生き方-卒業生へ-」

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「大人の生き方-卒業生へ-」
                      平成31年3月7日 校長 外山 信司

 梅の花が満開を過ぎ、桜の開花も待ち遠しく、いつの間にか春となっていました。
 ところで、春をなぜハルというのでしょうか?ハルの語源としてよく知られているのが、「草木の芽がふくらみ、張るから」という説です。また、ある国語学者は、「晴れる」という意味の古い言葉「晴る」が語源ではないかと言っています。暗く寒い冬が去って、太陽の光が力を増して暖かくなり、すべてのものが晴れやかに開けるときを、いにしえの日本人は「ハル」と呼んだのです。「晴る」「晴れる」の本来の意味は、雲や霧が消えて青空が見える状態のことです。「気が晴れる」というのは、気掛かりなことや嫌なことがなくなって、心がすっきりと開けた状態のことです。「遥か」は遠くまで見渡せることです。
 このように考えると、卒業を迎えた三年生の皆さんは、まさにこれからグングンと成長していく草木の芽であり、輝かしい将来に向かって人生が晴れやかに開ける瞬間を迎えたのです。

 さて、作家の伊集院静さんの本に「大人の流儀」というシリーズがあります。八作目となる最新刊は、『誰かを幸せにするために』というタイトルが付けられています。海の事故で亡くした弟さん、病気で若くして亡くなった、妻で女優の夏目雅子さんのことも感動的ですが、他にも人生について深く考えさせられることが詰まった本です。
 伊集院さんは、この本の冒頭に「人は誰でも自分のことが可愛い。/それはごく当たり前のことで、そうでなければ、自分を大切にしたり、向上心というものもなくなってしまうだろう。」と書いています。
 私たち教職員も、皆さんが四街道高校で、まずは「自分を大切にする」ことを基礎に据えて、三年間を過ごすことを願いました。高校生活は大人になるための「充電期間」であり、「自分を大切にする」ことが将来を切り開くことになるからです。そして、自分を大切にできない人、つまり自分を粗末にする人が、家族や友達、クラスや部活動の仲間、さらに四高(よつこう)を大切にできるはずがないからです。
 伊集院さんは、日本のプロ野球で活躍し、アメリカのメジャーリーグ、ニューヨーク・ヤンキーズでも大活躍した「ゴジラ」こと松井秀喜さんと親しいのですが、この本で松井さんから聞いたエピソードを紹介しています。
  「中学三年の最後の試合が夏に終わって、僕は部室に置いていた野球道具を取りに行った  んです。部室を出ようとすると、誰もいないはずのグラウンドにぽつんと人影が見えたん  です。あれっ、誰だ ?何をしているんだ? とよくよく見ると、コーチが一人でグラウ  ンド整備をしているんです。炎天下で一人っきりです。そうか、コーチは毎年、こうして  たんだ、と思うと黙ってお辞儀をして帰りました。」
 これに対して伊集院さんは、次のように述べています。
  「世の中は、目に映らない場所で、誰かが誰かのためにひたむきに何かをしているものだ。  /目を少し大きく見開けば、そんなことであふれている。今は目に見えずとも、のちにそ  れを知り、感謝することもあるのだろう。己のしあわせだけのために生きるのは卑しいと  私は思う。/己以外の誰か、何かをゆたかにしたいと願うのが大人の生き方ではないか。」

 皆さんは今日、四高(よつこう)を巣立ち、職場や上級学校という新たなステージに立ちます。法律上の成人は二年後ですが、既に選挙権も持った皆さんは立派な「大人」と言ってよいでしょう。そこで「大人の流儀」を紹介することにしたのです。
 現代の社会では、ことあるごとに「勝ち組」とか「負け組」とか、人間にレッテルを貼って、分断しようとする風潮があります。しかし、皆さんは、これから自分の置かれたそれぞれの場所や立場で、ベストを尽くすとともに、ぜひ大人の生き方をしてください。
 自分に忠実に精一杯生きることが、己以外の誰か、何かをゆたかにすることにつながるのです。『誰かを幸せにするために』には、そのようなメッセージが込められています。


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