校長室から >> 記事詳細

2019/03/10

図書館報から

| by ebihara-y
3/10 本校図書館報から
 卒業式に合わせて、本校の「図書館報」が発行されました。好きな作家について、書いてくれということで、重松清さんを紹介しました。進級、進学の時期であり、学生生活を総括する意味で、紹介したい言葉を重松さんの本から引用しました。以下、図書館報に掲載したものです。

 

おすすめ本紹介の依頼を受けた。私の読書歴は、大学に入り片道2時間の通学で始めたものなので、やや遅い。小学生の時の読書感想文が苦痛だったのが原因と、勝手に考えている。昨年度までは、電車通勤だったので、駅の書店で単行本を買い、そのまま読み始めるのが楽しみだった。好きな作家というと10名ぐらいは挙がる。今は山本周五郎をよく読んでいる。でも通勤は車になったので、車内では落語を聴きながしている。

今日は、高校生に紹介ということで、重松清という作家をおすすめしたい。この人は、私と同い年。小中学校の国語の教科書にも作品があるので、なじみがある人もいると思う。大学で教育学部の国語国文学科を専攻し、出版社勤務をして、作家になり、いまは出身大学で教鞭も執っている。

10年ほど前、仕事で県内の高校を回り、教員志望の生徒に話しをする機会があった。初対面の生徒にどんな話題がいいか考え、重松さんの作品を紹介した。読んだことがあるという生徒も多く、いい反応だった。

この人の作品には、学校、教師がよく登場する。その理由を、本のあとがきで、このように表現している。

「僕は教師という職業が大好きで、…けれど、僕は同時に、教師とうまくやっていけない生徒のことも大好きで、もしも彼らが落ち込んでいるのなら「先生なんて放っときゃいいんだよ」と肩をたたいてやりたいと、いつも思っている。矛盾である。…それでも、その矛盾があるからこそ、僕は何作でも「教師と生徒」を描きつづけていられるのだし、描きつづけなければならないのだろう。」(『せんせい』文庫版のためのあとがきから抜粋)

僕はこの人の作品を、教員になって10年ほどしてから読み始めた。もっと前に出会っていたら、もっとましな教員になっていたかもしれない。『ナイフ』『エイジ』『十字架』など、中高生が主人公になっている作品も多い。イチ押しの作品を決められないが、この人の作品を読んでいけば、一人一人の境遇や育ちに合った作品に出会えると思う。私の琴線に触れたのは、『きよしこ』だった。

 

最後に、私の忘備録に残っていた、重松作品の抜粋を紹介する。

○「先生にはいろんな先生がいた方がいい。生徒にもいろいろな生徒がいるから」

○「学校は味方ではない。でも敵でもない。」

○「人を踏みにじって、苦しめるのがいじめ。苦しめているのに気づかず、叫んでいる声を聞こうとないのがいじめ。」

○「先生は、正しいことを教えるために先生になったんじゃないんだ。『…どういうこと?』先生は、たいせつなこをを、教えたいんだ。」(『青い鳥』)

○「担任は、父母以外のオトナの中でいちばんそばにいる存在」(静かな楽隊)

○「一人ぼっちが二人いれば、一人ぼっちじゃないんだ。」

○「教師が生徒に言われて一番うれしい言葉ってね、『好きになった』なんです。古文の教師は古文を、英語の教師は英語を、…。たとえ成績が上がらなくても、僕らの授業で嫌いだった科目がすくになってくれれば、それが本当に一番うれしいんです。」(かかしの夏休み)

○「負けは負けだ。だが、「負け」と「終わり」とは違う。」(小さき者へ)

○「子供と向き合う大人がベースにすべきは、『正しさ』ではなく『優しさ』なのではないか。」

○「正しくても優しくないことが、世の中にはたくさんある。正しさと正しさがぶつかって戦争が起きる。優しさと優しさはぶつからない。」

○「甘やかしではない。間違いは許さない。怒りを持ったまま、包み込むのが優しさ。」(ファミレス)

○「人間が他の動物とちがうところは、ゆるすことができる、いうところなんよ。なんもかんもゆるせんという人間は、動物と同じじゃ」(気をつけ、礼。)


09:35