ご卒業おめでとうございます

― 卒業生保護者の皆様へ ―

  ご卒業おめでとうございます。

 日頃より、本校の教育活動に深いご理解と温かなご支援を賜り、心より御礼申し上げます。本校では、三部制定時制高校として一つの節目を迎える令和7年度の卒業式を、“ひとつの卒業式”として挙行し、卒業生を送り出します。生徒たちは、それぞれ異なる生活背景を抱えながらも、日々の授業や活動を積 み重ね、確かな変化を見せてくれています。こうした生徒一人ひとりの努力の背後には、保護者の皆様のご支援があることを、改めて深く実感しております。

 會報「みんなみ第85号」で、私は「命の重みとつながり」「感謝の心」「私たち大人の態度が子どもの生命観を形づくる」ということを申し上げました。それは、私が教師としてというだけではなく、一人の人間として強く信じている価値観であります。

 現代社会は、情報があふれ、変化の速度が増し、人と人とのつながりが希薄になりがちな時代です。SNS上での誹謗中傷、若者の孤立、承認の渇望と不安──こうした環境の中で、「生命の価値を見失ってしまう」危うさが、若い世代の周辺に確かに存在しています。その中で、学校も家庭も、大人の姿勢がこれまで以上に問われる時代になっています。

 私たちの生命は、それぞれ独立して存在しているのではなく、無数のつながりの中で支えられています。ご先祖から受け継いだ命であり、家族の愛情に包まれ、友人や教職員、地域の方々との関係に育まれ、自然の恵みに支えられている命です。一人で立っているように見えても、決して一人で成り立っているわけではありません。この「つながり」に気づくことこそ、生きる意味を深く考える最初の一歩です。

 本校には、さまざまな事情を抱えながらも「学びたい」と願う生徒が集まっています。生活リズムの課題を克服しながら通う生徒、家庭の事情を抱えつつ学びを継続する生徒、再出発を求めて自ら道を選んだ生徒、働きながら通う生徒など、多様な背景の若者が共に学んでいます。彼らは時に悩みながらも、自分の力で未来を切り拓こうと努力を積み重ねてきました。その歩みは、他の誰にも代えることのできない尊いものであり、生徒自身の強さと、支えてくださるご家庭の存在によって成り立っています。

 4月の始業式で、私は生徒たちに「月と太陽」の話をいたしました。月は自らの力だけで輝くのではなく、太陽の光を受けて優しく光ります。私たち人間もまた、たくさんの“光”──家族、友人、教職員、社会の支え──を受けて生きています。生徒たちがその光に気づき、自分自身もまた誰かの光となってほしい。これが、教育に携わる私の願いです。

 とりわけ、定時制の特性上、生活環境や背景が多様な生徒が通う本校において、ご家庭の支援はかけがえのないものです。「学校に通う」という一見当たり前に見える日常を積み重ねることは、決して容易ではありません。その一歩一歩を後押ししてくださったご家族の存在は、お子様にとっての“太陽”でありました。

  “人生の舵取り”

 卒業生の皆さん、人は、与えられた時間のすべてを思うように使うことはできません。だからこそ、限りある時間の中で何を選ぶのか、どのように歩んでいくのかが、人生をつくります。皆さんは、定時制高校の学びを「選び」、努力を積み重ねて卒業を迎えました。その選択と歩みは、紛れもなく皆さん自身の価値であり、誇りです。

 これからも “あなたの 人生の舵取りは すべてあなたの心” に委ねられています。

 戦後80年。現代に生きる私たちには、「自分の生命を輝かせ、他者の生命を尊び、次の世代へその思いをつないでいく」という使命があります。社会は急速に変化していますが、どれほど時代が移り変わろうと、人が人を思い、支え合い、尊重しあう姿勢は、未来を築く土台であり続けます。皆さんには、これからもその土台を支える一人として、胸を張って歩んでいってほしいと願います。

 保護者の皆様には、これまでお子様を支えてくださった温かいまなざしに、心より感謝申し上げます。時に悩み、時に立ち止まりながらも、今日まで進んでこられたのは、皆様の言葉や祈りがあったからにほかなりません。どうか卒業という節目に、改めてお子様に「よく頑張ったね」「あなたの存在が嬉しい」と声をかけていただければと思います。その一言は、一生を支える心の灯火となっていきます。

 三部制定時制高校として歩みを進める佐倉南高校は、これからも、生徒が自分の生命に誇りをもち、他者と支え合いながら未来へ向かう力を育む学校であり続けたいと思います。皆様のご支援に深く感謝するとともに、卒業される生徒の皆さんの門出が光に満ちたものであることを心よりお祈り申し上げ、校長あいさつとさせていただきます。

                                      校 長   後 藤 宜 夫