平成29年1月,3年生の理系クラスの「科学と人間生活」の授業,文系の「生物」の授業において,理科の探究活動を6時間実施しました。この学習は,本校での3年間で習得した理科の知識・技能を活用して日常生活に関連した探究活動を行い,自然の事物・現象に対する関心や探究心を高めることを目的としています。
生徒たちは,提示された課題からグループごとにテーマを決めました。テーマについての観察・実験計画を作成し,その計画に沿って観察・実験を行い,6時間目にそれぞれの活動の内容をクラス全体の前で発表しました。最後に,探究活動のレポートを作成し,活動のまとめを行いました。
発表では,各グループが創意工夫を凝らし,観察・実験時の画像や動画を用いて,わかりやすく表現していました。

「科学と人間生活」では,それぞれのグループが異なる課題からテーマを決めました。テーマは次のとおりです。
〇石鹸の合成
〇環境によるリンゴの変色の違い
〇金属イオン水溶液の色の変化
〇金属のめっき
〇塩酸と水酸化ナトリウムを用いた果物の皮むき
〇ナイロンの合成
〇紫外線により発光する物質の正体
〇ガウス加速器の加速条件
「生物」では,以下の3つの課題からそれぞれのグループがテーマを決めました。
〇光の色による光合成速度の違い
〇細菌の培養
〇酵母を用いたアルコール発酵
発表は全てのグループがプレゼンテーションソフトを用いて行いました。
下の図は,発表時に使用されたスライドを一部抜粋したものです。

環境によるリンゴの変色の違い

塩酸と水酸化ナトリウムを用いた果物の皮むき

ナイロンの合成

紫外線により発光する物質の正体

光の色による光合成速度の違い

細菌の培養

酵母を用いたアルコール発酵
探究学習後のレポートでは,次のような感想が見られました。
〇勉強するほどわからないことが増え,もっと深く調べてみたいと思いました。難しかったけど面白かったです。他班の実験も凄く面白そうでした。
〇同じ課題の班の発表を聴き,結果や考察を比較することでより理解を深めることができました。
〇初めて自分たちだけで最初の実験から最後のレポートまで一とおりやり,達成感があります。高校入学前までは実験方法と結果だけで深く考えず,どうしてそうなったかを理解せずに終わらせていました。高校では最後まで自分で考えることによってよりわかるようになったなと感じます。
〇班で協力してやることの大切さ,興味を持つことは楽しいということを学ぶことができました。
〇今の2年生にも継続して実施し,自分たちよりも精度の高い実験をしてほしい。
〇授業外の朝・放課後の時間にみんなで集まって観察・実験をするのが楽しかった。
〇理系の科目に苦手意識があったのが,授業が楽しかったので印象が変わりました。
〇小・中と実験はたくさんやってきましたが,今回のが一番楽しかったかもしれません。
〇自分たちの考えを,根拠に基づいてわかりやすく伝えることは今後絶対に必要になります。もっと上手く伝えられるように,文章力・表現力を磨いていきたいと思います。
〇大学に進む前にレポート課題のような形でこの実験をすることができてよかったです。
〇実際に実験を行うことで,教科書を読むだけよりも深く理解できるとわかりました。
探究活動終了後,指導を担当した藤野教諭は
「今回の活動をとおして,それぞれの活動における良かった点や改善点があったと思う。生涯学習の観点から,今回の経験を,日々の生活の中で科学的な視点を持ち,よりよく生きていくための一助としてほしい」
と語っていました。