校長日記 日々雑感

2017年3月の記事一覧

1年間を締めくくりました。

 先ほど終業式を終えました。3学期の終業式は学校にとっては1年間を締めくくる大切なものです。
特に本年度は、江戸川大学、東京理科大学の学生さんたちや、地域の方々の学習ボランティアの
皆さんに参加していただき、学び直しの時間、本校では基礎学習と呼んでいますが、その時間を充実
させることが出来ました。躓いてしまった生徒たちを取り出して教えているのですが、その時間を
ほぼマンツーマンで行うことが出来るようになりました。生徒たちも充実しているようです。
 来年度もより一層、地域の方々のお力をお借りしながら、きめ細かく充実した教育を行って行ける
ように頑張りたいと考えております。
 終業式では以下のような話をしました。
『 おはようございます。(生徒たちが大きな返事をしてくれました。)気持ちの良い返事ですね。ありが
とう。終業式は学校の1年の終わりです。これまでも目標を持とう、努力しようと話してきました。君ら
の目標は達成できましたか?
 振り返ってみますと、まず卒業式、よい卒業式でしたね。答辞で男の子と女の子が前に来たときに、
君らは背中しか見えなかったと思いますが、二人ともとても緊張していて、それを見て泣きそうになり
ました。一生懸命にこらえましたが。本当に卒業生の心のこもった良い卒業式でしたね。
 そして、会議でインターンシップ報告書が配られました。生徒の代表も良いことを書いていましたが、
受け入れ先の事情所さんも「とてもまじめでよかった。」とか「あそこまでやるとは思わなかったので
おどろいた。」とかお褒めの言葉をいただきました。一部、化粧をしてこないと良かったというのもあり
ましたが。
 そして、マラソン大会もありましたね。ほとんどの人が一生懸命に走ってくれて、良い大会でした。
しかし、2年生の男子の一部が、ふざけたり歩いたりして、1年生が歩いているのを追い越そうとして
もできずに困っていました。本当に残念です。ほとんどの人がちゃんと出来るのに、何故出来ないので
しょうか?
 また、この後のホームルームでも話があると思いますが、昨日、駅前のコンビニのあたりから苦情
が来ました。私も電車に乗るときに、小中学生や高校生の団体がいると、別の車両に行ってしまいます。
本当に大きな声で話しますよね。周りの迷惑は気が付かないのでしょうか?
 昨日の成績の会議でもそうです。皆さんもよく分かっていると思いますが、流山北高校は、点数だけ
では判断しません。
どれだけ頑張っているのか、どれだけ先生方の期待に応えたのか、をよく見ています。
しかし、昨日の会議で先生方の報告を聞いていると、せっかく補習や補講、追走や追歩を用意しても、
サボったり放棄したりする生徒がいるようです。
先生方は出来もしないことを要求したりはしません。
すべて君らの成長を願ってやっていることです。それなのに「やりたくない。」とか「めんどくさい。」とか
黙って帰ってしまうとかって何なのでしょうか?
 自分の好きなこと、やりたいことだけをして、
嫌なことを避けて逃げ回っているように見えます。
逃げ回っていても、今が楽なだけです。せっかくの
可能性を自分でつぶしにかかっているだけです。
苦しいことに自分で立ち向かって、自分の可能性を
開いてほしいと思います。正直に言ってこの中には1年生の時に補習や追走をやらずに単位を落とした
生徒がいます。流山北高校では何単位かは落としても進級できますからね。でも、それが重なると
進級・卒業できなくなります。そういう状態になっている人がいます。
 真剣に考えてきちんと取り組んでほしいと思います。
 二つ目の話です。
感謝についてです。穂波に書いたことと基本的に同じです。進級の時期になりました。
毎日生活できるのが当たり前と思っているかもしれない。よく見てほしい。君らの保護者は君らを
学校に通わせるために、どれだけの犠牲を払っているかを。
例えば、私の娘がまだ幼稚園児だった頃、
妻が10日間の入院をしました。
ものすごく大変な思いをしました。幼稚園への送り迎えは、
近所に住んでいた妻の両親、おじいちゃんやおばあちゃんにお願いしましたが、
そのほかの炊事、洗濯、掃除、お弁当作りなどすべてをしました。本当に大変でした。
朝起きると、洗濯機を回して、洗濯物を干します。次に娘のお弁当を冷凍食品などを使いながら、なんとか作ります。
そして、朝食を作り、娘を起こして一緒に食べて、食器を洗ってから、娘をおじいちゃん、おばあちゃんのところで届けて、
出勤です。帰ると、娘を引き取って、すぐに病院に妻のお見舞いに行き、泣く娘をなだめながら、家に帰って夕食を作り、
娘とお風呂に入って、寝かせてから、洗濯物をたたんで、食器を洗って、やっと寝ることができました。
自分の時間なんて全くありませんでしたし、テレビを見る時間さえをありませんでした。
 でも、自分の子供ができるってそういうことなんです。子供は勝手に生まれてきて、勝手に育つわけではないのです。
そんな犠牲を払ってくれている君らの保護者や世話になった人たちに、進級できた人は良い機会ですから
通知表を見せながら「進級できました。ありがとうございます。」と感謝の気持ちを伝えてください。』


素晴らしい卒業式をありがとうございました。


 本日は第30回の卒業式でした。卒業証書授与の際の呼名に対する返事も良かったし、男女二人でやった答辞もそれぞれ
の迷い苦しみ努力し喜んだ心の動きが丁寧に表現されていて、感動をしました。泣きそうになりました。卒業の歌も二部合唱
で素晴らしい声が出て、保護者の方々も在校生もとても感じ入った様子がわかりました。そして、退場前に卒業生全員が、
3学年の先生方にお礼を言うというのはとてもよかったですね。来賓の方々もとてもほめてくださいました。
 私も、少しでも卒業生のこれからの心の支えになればと思い、式辞を読み上げました。以下に掲載させていただきます。
『 何度かの雪もありました冬の 厳しい 寒さを経て、昇る朝日に暖かさを感じ、校庭の桜も冬の装いから、春の訪れを告げる
力強さを見せ、暖かな季節への移り変わりを感じさせる、今日この頃となりました。
 本日ここに、卒業生の保護者の皆様方のご列席の下、流山市立北部中学校長 中川淳(じゅん)様、流山市立東深井中学
校長 片野 全康(まさやす)様、流山市立新川小学校長 高橋千代美様、本校保護者会会長 荒木綾子様、本校保護者会
副会長 湯井隆子様、をはじめ、卒業生にゆかりの深いご来賓の皆様の御臨席を賜り、千葉県立流山北高等学校 第三十回
卒業証書授与式を挙行できますことは、本校にとって、この上ない喜びであります。高い席からではございますが、皆様に、
御礼申し上げます。
 ただ今、本校普通科の課程を修了し、卒業証書を手にされた、203名の皆さん、心からお祝い申し上げます。
 こうして皆さんが今日この日、卒業式を迎えることが出来たのは、皆さんの保護者の皆さま、そして先生方の期待に応えて
続けてきた、たゆまぬ日々の努力の賜です。そして、今日、この日を迎えるにあたって、決して忘れてはいけない事。それは、
その陰には、いつも皆さんを慈しみ、育み、励ましてこられた保護者の皆様の愛情があります。そして、優しくあるいは厳しく
叱咤激励し、教え導いてくださった先生方、互いに思いやり合い助け合い、絆を深めた友人達、そして思いやりを持って暖かく
見守ってくださった、地域の方々に支えられたものです。これらの人たちへの感謝の気持ちを忘れてはなりません。本日が
よい機会です。「実るほど首を垂れる稲穂かな」と昔から言います。「ありがとうございました。」と素敵な言葉で、感謝の気持ち
を伝えてください。
 さて、君たちは私の着任と一緒に、流山北高校への入学という新しいスタートを切った学年でした。スタートでは皆さんも、
そして先生方も色々な不安と迷いを抱えていたと思います。ところが、本校での3年間にわたる先生方の厳しくも優しい指導に、
真っ正面から答えた君らの鍛錬の日々を経て、素晴らしい結果を出しました。5年連続斡旋就職100%、そして例年以上の
大学進学・専門学校進学。進路だけではありません。思い出されるのは、一緒に行った修学旅行でも、沖縄で雪が降る
といった記録的な寒さと荒天の中で、整然と落ち着いて行動する姿に、一種の感動を覚えました。そして、文化祭や体育祭などの
行事で下級生をしっかりとリードし、10月に行われた強歩大会でも途中から雨に打たれながらも、1・2年生をリードして
歩き切ったその姿は美しいものでした。その成長した君たちが、今日この日に、新しい世界を開拓する旅に出ることになりました。
その社会に出るという、最も困難ではあるが素晴らしい旅に出る君たちに、一言お祝いの言葉を述べたいと思います。
 「風向きを変えることはできないから、舵を取れ」と元国連事務総長のコフィ・アナンさんは言われています。一人の人間が
世の中全体の風向き、流れを変えることは至難の業です。どんなに才能ある優秀な方でも風向きを変えることは難しいことです。
しかし、流れるままに流される、風向きのままに吹かれているのではなく、その中でしっかりと自分の向かう方向を見定めて、
舵を取ることは可能です。最近の脳科学の研究では、人の能力や運命はDNA、つまり遺伝では決まらないそうです。
その人が持つ意思、やり抜こうとする気持ちがDNAに働いて、有効な遺伝子が働き出すのだそうです。君らはこの3年間で
先生方の力強いサポートの下で、その有効な遺伝子に強力なスイッチを入れてきました。
 本校は学び直しやり直しの学校です。もしも君たちに劣等感が残っていたとしたら、今、この場で捨てて下さい。それだけの事を
君らはやってきました。そして、これから君らが飛び込ん行く社会は、テストの点数をどれくらい取るかではなく、何をどれ位やるか、
どれ位頑張っているかでその人の価値が決まってきます。君らのように頑張る人こそが、舵を取る、みんなの行く方向への舵を取る
役割を任されるものなのです。一握りのエリートが社会を作ってゆくのではありません。君らこそがこれからの社会を支え、
これからの社会を作ってゆく主役なのです。
 そして、トヨタ自動車などグループの礎を築いた豊田左吉氏について、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授は
「ゴールにたどりつくまで一身不乱にできるのが才能」と話し、日本の産業発展への功績をたたえたそうです。
 君らもこの流山北高校の3年間で一心不乱にやるという才能を身に着けました。その君らが21世紀の日本を支えて行くのです。
3学年の先生方を中心とした素晴らしい先生方の助けで、鍛えた心と体と絆を忘れずに、前を向いて力強く自分の人生を開拓し、
日本の未来を担っていってください。
 さて、終わりになりましたが、保護者の皆様には、この三年間、本校の教育活動に絶大なご理解とご協力を賜りましたことに、
心から感謝申し上げます。
 本校も、地域連携アクティブスクールとして、これまでの発展を基礎に、ますます大きく飛躍しようとしています。これからも
流山北高校は、卒業生が母校として誇れる学校となるよう、一層邁進して行く事を約束いたしますとともに、卒業生の皆さん
一人ひとりの限りない発展と豊かで幸せな将来を願って式辞といたします。

 平成29年3月4日
                               千葉県立流山北高等学校長 三橋重信』