校長日記 日々雑感

素晴らしい卒業式をありがとうございました。


 本日は第30回の卒業式でした。卒業証書授与の際の呼名に対する返事も良かったし、男女二人でやった答辞もそれぞれ
の迷い苦しみ努力し喜んだ心の動きが丁寧に表現されていて、感動をしました。泣きそうになりました。卒業の歌も二部合唱
で素晴らしい声が出て、保護者の方々も在校生もとても感じ入った様子がわかりました。そして、退場前に卒業生全員が、
3学年の先生方にお礼を言うというのはとてもよかったですね。来賓の方々もとてもほめてくださいました。
 私も、少しでも卒業生のこれからの心の支えになればと思い、式辞を読み上げました。以下に掲載させていただきます。
『 何度かの雪もありました冬の 厳しい 寒さを経て、昇る朝日に暖かさを感じ、校庭の桜も冬の装いから、春の訪れを告げる
力強さを見せ、暖かな季節への移り変わりを感じさせる、今日この頃となりました。
 本日ここに、卒業生の保護者の皆様方のご列席の下、流山市立北部中学校長 中川淳(じゅん)様、流山市立東深井中学
校長 片野 全康(まさやす)様、流山市立新川小学校長 高橋千代美様、本校保護者会会長 荒木綾子様、本校保護者会
副会長 湯井隆子様、をはじめ、卒業生にゆかりの深いご来賓の皆様の御臨席を賜り、千葉県立流山北高等学校 第三十回
卒業証書授与式を挙行できますことは、本校にとって、この上ない喜びであります。高い席からではございますが、皆様に、
御礼申し上げます。
 ただ今、本校普通科の課程を修了し、卒業証書を手にされた、203名の皆さん、心からお祝い申し上げます。
 こうして皆さんが今日この日、卒業式を迎えることが出来たのは、皆さんの保護者の皆さま、そして先生方の期待に応えて
続けてきた、たゆまぬ日々の努力の賜です。そして、今日、この日を迎えるにあたって、決して忘れてはいけない事。それは、
その陰には、いつも皆さんを慈しみ、育み、励ましてこられた保護者の皆様の愛情があります。そして、優しくあるいは厳しく
叱咤激励し、教え導いてくださった先生方、互いに思いやり合い助け合い、絆を深めた友人達、そして思いやりを持って暖かく
見守ってくださった、地域の方々に支えられたものです。これらの人たちへの感謝の気持ちを忘れてはなりません。本日が
よい機会です。「実るほど首を垂れる稲穂かな」と昔から言います。「ありがとうございました。」と素敵な言葉で、感謝の気持ち
を伝えてください。
 さて、君たちは私の着任と一緒に、流山北高校への入学という新しいスタートを切った学年でした。スタートでは皆さんも、
そして先生方も色々な不安と迷いを抱えていたと思います。ところが、本校での3年間にわたる先生方の厳しくも優しい指導に、
真っ正面から答えた君らの鍛錬の日々を経て、素晴らしい結果を出しました。5年連続斡旋就職100%、そして例年以上の
大学進学・専門学校進学。進路だけではありません。思い出されるのは、一緒に行った修学旅行でも、沖縄で雪が降る
といった記録的な寒さと荒天の中で、整然と落ち着いて行動する姿に、一種の感動を覚えました。そして、文化祭や体育祭などの
行事で下級生をしっかりとリードし、10月に行われた強歩大会でも途中から雨に打たれながらも、1・2年生をリードして
歩き切ったその姿は美しいものでした。その成長した君たちが、今日この日に、新しい世界を開拓する旅に出ることになりました。
その社会に出るという、最も困難ではあるが素晴らしい旅に出る君たちに、一言お祝いの言葉を述べたいと思います。
 「風向きを変えることはできないから、舵を取れ」と元国連事務総長のコフィ・アナンさんは言われています。一人の人間が
世の中全体の風向き、流れを変えることは至難の業です。どんなに才能ある優秀な方でも風向きを変えることは難しいことです。
しかし、流れるままに流される、風向きのままに吹かれているのではなく、その中でしっかりと自分の向かう方向を見定めて、
舵を取ることは可能です。最近の脳科学の研究では、人の能力や運命はDNA、つまり遺伝では決まらないそうです。
その人が持つ意思、やり抜こうとする気持ちがDNAに働いて、有効な遺伝子が働き出すのだそうです。君らはこの3年間で
先生方の力強いサポートの下で、その有効な遺伝子に強力なスイッチを入れてきました。
 本校は学び直しやり直しの学校です。もしも君たちに劣等感が残っていたとしたら、今、この場で捨てて下さい。それだけの事を
君らはやってきました。そして、これから君らが飛び込ん行く社会は、テストの点数をどれくらい取るかではなく、何をどれ位やるか、
どれ位頑張っているかでその人の価値が決まってきます。君らのように頑張る人こそが、舵を取る、みんなの行く方向への舵を取る
役割を任されるものなのです。一握りのエリートが社会を作ってゆくのではありません。君らこそがこれからの社会を支え、
これからの社会を作ってゆく主役なのです。
 そして、トヨタ自動車などグループの礎を築いた豊田左吉氏について、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授は
「ゴールにたどりつくまで一身不乱にできるのが才能」と話し、日本の産業発展への功績をたたえたそうです。
 君らもこの流山北高校の3年間で一心不乱にやるという才能を身に着けました。その君らが21世紀の日本を支えて行くのです。
3学年の先生方を中心とした素晴らしい先生方の助けで、鍛えた心と体と絆を忘れずに、前を向いて力強く自分の人生を開拓し、
日本の未来を担っていってください。
 さて、終わりになりましたが、保護者の皆様には、この三年間、本校の教育活動に絶大なご理解とご協力を賜りましたことに、
心から感謝申し上げます。
 本校も、地域連携アクティブスクールとして、これまでの発展を基礎に、ますます大きく飛躍しようとしています。これからも
流山北高校は、卒業生が母校として誇れる学校となるよう、一層邁進して行く事を約束いたしますとともに、卒業生の皆さん
一人ひとりの限りない発展と豊かで幸せな将来を願って式辞といたします。

 平成29年3月4日
                               千葉県立流山北高等学校長 三橋重信』