丸沼・日光野外実習
令和6年8月17日(土)~18日(日)の2日間、群馬県片品村にある丸沼と栃木県奥日光で「丸沼・日光野外実習」を実施しました。当初2泊3日での実施予定でしたが、台風7号の影響により、16日(金)出発を1日遅らせての実施となりました。1年生理数科生徒39名が参加し、渡りをする蝶「アサギマダラ」のマーキング調査、華厳の滝の科学的視点でみた観察、沼田の河岸段丘の観察を行いました。
8月17日(土)
朝7時30分、電車等の遅延もありましたが、保護者様の御協力の下、予定通りの時間にバスで学校を出発。車中では、夏休み前に行った事前学習の復習と、「アサギマダラ」の渡りに関するDVDを視聴しながら群馬・栃木方面へと向かいました。まず、華厳の滝に到着し、観光としての立ち寄りではなく科学的視点からみた華厳の滝の観察を行いました。
次に、丸沼方面のアサギマダラマーキングポイントに移動し、講師の善養寺聡彦先生からアサギマダラの捕獲、マーキング方法の指導を受けた後、約2時間マーキング調査を行いました。終始天候にも恵まれ、計113頭(雄92頭、雌21頭)のマーキングをすることができました。
夕食後、善養寺先生による「アサギマダラの渡りのポイントと吸蜜植物」の講義をいただき、事前学習とこの講義を参考に、「アサギマダラ成虫が8月下旬に丸沼を離れ、11月下旬に台湾へ移動した、と想定したときの旅を模造紙に図示し、実況または日記的に表現する」という課題に、班ごとに取り組みました。夏休みに入る前にアサギマダラに関する資料を読み、この課題について班で考える時間を取っていたので、実際にアサギマダラに触れた経験と、講義いただいた内容を踏まえ、30分間という短い時間の中で、いかに班員と協力して意見を出し合い、なぜそのルートをたどるのかを考察しながらグループワークを経て完成させ、「そのルートをたどるのであれば、どのような感覚器/情報処理能力/身体的能力が必要であると考えたか」などを中心に説明・発表しました。各班の発表に対し、善養寺先生から講評をいただき、1日目の活動は終了となりました。
はっきりとした答えのない問に対し、班員で意見を出しながら情報を精査し、発表した経験は、生徒たちの創造性を成長させる、よい探究的な活動であったと言えます。
8月18日(日)
朝9時00分に宿舎を出発し、バスで丸沼高原スキー場(マーキングポイント)に向かいました。朝、気温が上がりきっていない場所ではアサギマダラが活動していない場合も多く、若干の不安がありましたが、計115頭(雄98頭、雌17頭)と十分な頭数を捕獲することができました。
昼食を済ませた後、宿舎を出発し、地理や地学の教科書にも写真が載っている「沼田の河岸段丘」を観察し、自然が織りなす地形の完成に感動しました。
丸沼日光野外実習で学習した内容は、10月末日頃、他の生徒や保護者の皆様へ発表します。日程の変更により、一部テーマを変更せざるを得なくなってしまった班もありますが、それでも生徒たちは非常に意欲的に実習に臨むことができました。
今回の野外実習は、当初予定していた2泊3日での内容が実施できず、現地ガイドによる戦場ヶ原湿原の観察と日光白根火山の溶岩石の観察を行うことができませんでした。しかしながら実習中は天候に恵まれ、この実習の大きな目的であるアサギマダラのマーキングが十二分に実施できました。2日間のマーキングの成果は、総計218頭(雄181頭、雌36頭)でした。本来立ち入ることができない夏のスキー場を歩き、アサギマダラという謎の多い蝶を追いかけ、泊を共にした生徒たちの経験は、今後の学校生活に生かされるのではないかと思います。
【生徒の感想】
・今回の野外実習で、協力することの大切さを学んだ。中学校の修学旅行や校外学習よりも自分たちで行動しなきゃいけないことが多く、また体力を多く使った。そこで感じたのが協力することがやっぱり大切だということだった。そのことについては、いままで生きてきた中で何度も感じてきたけど、かなりこの野外実習ではそれを感じた。何かあった時、気がついたら仲間と協力してる気がする。当たり前のようで当たり前だと思ってたら結構めんどくさいことになったりするので、やっぱり大切だと思った。なので、これからも何かあった時、コミュニケーションをしっかりとって、自分の能力を使って問題を解決していきたい。
・地形の特徴と成り立ち、地形との関わり方がわかりました。アサギマダラのマーキングでは実際に自分でやることで、触りごこちなどの写真や映像ではわからないことがわかり、考察する際のとても良い材料になりました。発表は時間がない中で自分たちの考察を伝えることができたと思います。機会があればまた観察してもっと深く考察したいと思いました。ダラダラ過ごしてしまう夏休みの中きつかったですがとても良い活動になりました。この先も自然と関わる生き方をしたいと思います。
・探求をするということに対し自分には何が足りていないのかまた、どのような視点を持って望むべきなのかを学ぶことの出来る貴重な時間でした。自分自身が現地に行き、調査をする大変さと楽しさを学ぶことができました。
・今までアサギマダラについてのテレビや資料を読んできたけどあまりピンときていなかった。けれど、今回の野外実習を経て1つ自分でアサギマダラについての仮説をたてることができた。実際にアサギマダラを捕まえるなどをすることでテレビや資料ではなかなか細かいところまで考えられなかったことを考えられたのでとてもよかった。
・とても楽しくとても学ぶことが多い野外実習だったと感じました華厳滝では柱状節理を近くで見ることができあんなに綺麗にできているのかと驚きました。アサギマダラのマーキング調査ではアサギマダラを生でみてこの小さい体で何千キロという距離を飛んでいることに感動しました。たくさんの講師の方のおかげでどこに行ってもその場所についてよく知り深く考えることができました。また勉強の面だけではなく仲間と協力する機会が多くクラスの仲もより一層深まったように感じられました。
●開発教材
文字
背景
行間
平成21年6月1日 9359
平成22年6月1日 67170
平成23年6月1日 137284
平成24年6月1日 216310
平成25年6月1日 294976
平成26年6月1日 440410
平成27年6月1日 660238
平成28年6月1日 886460
平成29年6月1日1107626
平成30年6月1日1382808
令和 元年6月1日1540361
令和 2年6月1日1760304
令和 3年6月1日1959313
令和 4年6月1日2189680
令和 5年6月1日2437004
令和 6年6月1日3378670
令和5年6月1日から
令和6年6月1日までに
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