初めに、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、入学式の次第を一部割愛したり、来賓の方の出席を御遠慮いただいたり、何よりも新入生の皆さんをこれまでずっと支えてきてくださった保護者の方の出席を1名に限定したりと、新入生の皆さんにとっての晴れの舞台である入学式を縮小して実施しなければならないことは、極めて遺憾ではありますが、事情を御賢察いただき、御理解くださいますようよろしくお願いいたします。
式辞
今年の春の深まりはとても緩やかで、校門脇の桜もまだ多くの花を梢に留めています。春和の候、この佳き日にここに保護者の皆様の御臨席を賜り、入学式を挙行できますことは、校長としてこの上ない喜びであります。
ただ今入学を許可いたしました197名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。今、こうして壇上から真新しい制服に身を包んだ皆さん一人一人の引き締まった面持ちを見ていると、大変頼もしく思われます。一本化やコロナ禍等の影響もあって、今年の入学者選抜も県立高校の多くが生徒募集に苦しむ大変厳しいものとなりました。そんな中、よくぞ印旛明誠高校を選んでくださいました。私たちは心から皆さんを歓迎いたします。ようこそ印旛明誠高校へ。
皆さんを迎える印旛明誠高校は、100年を超える歴史を持つ印旛高校が印西市木下からここ草深の地に移転し校名を変更して、平成22年に開校しました。今年で13回目の入学式となります。千葉県でも有数の長い伝統を誇るとともに千葉県で最も新しい県立高校でもあります。皆さんには最新の施設、設備が整った最高の環境で学んでもらうことができます。3年間、思う存分活用してください。
さて、新入生の皆さんの高校生活の始めに当たり、本校の校訓について少しお話をしたいと思います。皆さんも御存じのとおり、本校の校訓は「至誠(しせい)」です。「至誠」の「至」は「いたる」という字で、「誠」は「まこと」、まさに本校の校名、明誠の「誠」です。この「至誠」という言葉は、中国の戦国時代の思想家孟子の教え「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」に由来します。日本では、幕末に、明治維新で活躍する多くの志士を育てた吉田松陰が座右の銘としたことでも広く知られています。誠の心をもって尽くせば、人は必ず心を動かされるということです。また、「至誠天に通ず」という言葉もあります。本当に誠実に事に当たれば、その気持ちは天に通じ、必ず良い報いがあるという意味です。本校の校訓「至誠」は、まさに「真面目で正直な心」「どこまでも誠実に真摯に取り組もうとする心構え」を皆さんに求めているのです。これは何かを学ぶ上で、そして、多くの人とかかわりながら、社会の中で人生を切り拓いていく上で最も大切なことです。皆さんには、3年間、本校で学ぶ中で、常にこの「至誠」という言葉を意識しながら、取り組んでいってもらいたいと思います。
就職するのであれば、もちろんのこと、進学するにしても、高校での3年間が皆さんのその後の数十年の人生を決めるといっても過言ではありません。私自身も高校での恩師との出会いをきっかけとして高校教師の道を目指しました。是非志を高く掲げ、何事にも誠実に一生懸命に取り組んで、充実した高校生活を送ってください。
鳴く雲雀帝座を目懸かけ上る
これは、俳人、俳句の作り手としても名高い、明治から大正にかけて活躍した文豪夏目漱石の句です。漱石は高校の国語の授業の中でその作品と出会い、私が国語の教師となるきっかけになった作家でもあります。句の中の「帝座」は、本来、帝、王が座る椅子、王座のことですが、ここでは空の高いところのことを喩えています。雲雀はさえずりながら空高く飛び上がる習性を持っていることで有名で、多くの人に親しまれています。先ほども申し上げましたが、新入生の皆さんには、この句の「雲雀」のように、大きな志を胸に自分の夢の実現のためにより高いところまで駆け上って行っていただきたいと思います。
さて、保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これからの3年間、私ども教職員一同、皆様の御期待に応えられるよう最大限の努力をしてまいる所存ですが、新入生の皆さんと同様、保護者の皆様も本日から「チーム印旛明誠」の一員です。多くの方々に愛され、誰もが誇りに思える魅力ある学校づくりに共に取り組んでまいりたいと存じます。御支援、御協力をお願い申し上げます。
結びに、新入生の皆さんの印旛明誠高校での高校生活とその先に続く未来が輝かしいものとなることを祈念し、私の式辞といたします。
令和4年4月7日
千葉県立印旛明誠高等学校長 浅田 勉